人形芸術座のドン・キホーテは前衛劇だった。

その昔、人形芸術座という人形劇団がありました。そこで人形作りに取り組んでいた頃があります。

その頃の古い人形アルバムがドッサリ出てきました。古いフイルムや写真ですから痛みや汚れもかなりすすんでいます。3Dで再現し保存しておこうと思いたち、Zbrushという3DCGソフトを使って粘土造形の感触を懐かしく思い出しながら作業に取り組んでいます。

ほとんどがモノクロの古ぼけた写真ですが、古い昭和の劇人形に興味をお持ちならうれしい限りです。。

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 人形芸術座のドン・キホーテは前衛劇だった。

 

私たちの人形芝居ドン・キホーテは、おそらく世界で最初の前衛的人形劇だったと思います。

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当初、企画されたドン。キホーテはファミリーと子供たちに向けた世界名作のダイジェスト版でした。



ところが参考として読んだルナチャルスキーの戯曲、解放されたドン・キホーテ
のロシア・アヴァンギャルドの現実参加性にすっかり打ちのめされてしまったのです。人形劇でもこんな芝居をやりたい!



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日本でも軍国主義の復活が騒がれ始め、それに抵抗する運動も始まっていました。生きた人間を人形化するには当然制約がある。それを逆手にとり、ドン・キホーテは肉体を持たず、空っぽの鎧に騎士道という時代遅れの精神だけが充満して動いている。そんな設定にした。



主役の人形のイメージが決まると、少し前衛劇らしくなった気がした。


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風車に戦いを挑むドタバタ劇の滑稽さが逆に村人たちに恐怖を与え、古い騎士道精神が村人たちをマインドコントロールしていく。激しいアクションはシチリア島の伝統人形劇に倣って本当に人形同士が力一杯激突できるようにした。

ドン・キホーテには本物の薄い真鍮板を張り付け、


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他の人形たちも当時まだ製品化される前のプラスティック溶液を、開発工場に頼み込んで試用させてもらった。粘土の造形から石膏型を取り、プラスティックを流し込んだ。ずいぶん頑丈に仕上がり重量もハンパではなかったが、激闘には耐えた。

写真の人形たちが襤褸を引きずっているように見えるのは、写真が古いだけではなく、舞台上の激闘の結果なのです。


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人形劇の小道具は大きさの関係からほとんど実物は使えない。すべて作り物になる。写真と一緒に小道具付帳の一部が出てきたが、まあなんと、ドン・キホーテの小道具の多いこと。その方が演出上、人形のアクションを面白く見せられるからだが、脚本と演出とを兼ねていると、どうしても美術制作に遅れが出てくる。初めから計画しておくと楽なことが、ギリギリになってからでは七転八倒の騒ぎとなる。人形の帽子を忘れていた!





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消耗の激しい衣装はプラスティックボデイに直接貼り付ける方法をとったが、厄介なのは帽子でした。スペイン

の気候風土から当時の男性のほとんどが帽子を被っていたのですが、衣装と同じように一体化して作ってしまうと、被ったままで挨拶することになり、また、長く続く室内シーンなどでは脱がないのは不自然に見えます。布で作ると型崩れや傷みに耐え切れません。何か、堅牢で、加工に手間がかからず、しかも軽量で・・と、考えたらありました!





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アルミの灰皿です。あの頃、捨てても良いような古いものが何処にでも転がっていました―
今も私の手元にあります―あっという間に必要な数がそろいました。これを逆さまにすると、人形の大きさにピッタリでした―今でも裏返すと帽子に見えてきます―加工もペンチ一本で自由自在。あとは布を張るだけで完成!


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(とりあえず今回はここまで、ありがとう!)



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