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vol.1 ルパンは性の目覚め


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‐‐‐‐第一回目の対談が、モンキー・パンチさんだったことを受けて、

三木 モンキーさんとは、どのくらいのお付き合いなんですか?

おおすみ ルパンの放送が始まる2年ほど前からだから、40年近くなるかなぁ。

石井 初対面の印象はどうだったんですか?

おおすみ 漫画アクションができた時、最初からルパンは注目されてたんだけど、名前も「モンキー・パンチ」とかだから、誰も日本人が描いてると思ってなかったんだよね。会うまでは漫画のスマートな印象から当時でいう岡田真澄のようなかっこいい男なんだろうな、と思ってたんだよ。

三木 あー、イケメンの洒落た男みたいな。

おおすみ ところが、会ってみたら北海道のじゃがいもみたいな、いい意味で本当に素朴な男だった(笑)

三木 ちょっと、いい話ですねぇ。

おおすみ しばらくみんなも、本当にルパンを描いた本人かなぁと思ってたね(笑)
それでちょっと絵を描いてもらうことにしたの。今でこそウソみたいな話だけど、当時、女の裸が漫画に現れることはまずなかったんですよ。モンキー・パンチもチラッとは感じさせてたけど実際にはまだ描いてなかったからね。僕はテレビのルパンでどうしてもそれをやりたかった。で、その場で描いてみてって言ったら、「わかりました」って描き始めたんだけど、デッサンみたいにアタリ線ばっかり描いててね。結局、帰るまで描けなかったの。だから、みんな「ほんとに本物のモンキー・パンチだったのかな?」って疑問を持ったままで終わっちゃった(笑)。

石井 (笑)へー!緊張してたのかな。

‐‐‐‐お二人は、モンキーパンチさんとお会いしたことあるんですか?

三木 お会いしたことないですね。だから、僕にも都会的なイメージしかないですよ。葉巻とかくわえてそうな…(笑)。

‐‐‐‐三木さんは、ルパンが出てくるCMの演出をなさってるんですよね?確か、おおすみさんがルパンの声優に山田康雄氏を選んで最初に演出し、三木さんが山田氏声優時代の最後のルパン演出をしたという不思議なつながりがあるんですよね。

三木 僕がやったのは石油会社EssoのCMで実写とアニメのルパンを合成させたやつですね。

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おおすみ あ、じゃぁ大塚康生さんとやったの?

三木 やりました。

おおすみ EssoのCMについては、大塚さんと電話でかなり長く話した覚えがあるなぁ。たしかその時に、演出いいねって話したんだよ。大塚さんも満足していたし、かなり評価が高かったよね。大塚さんからもらったマグカップ、いまだに俺持ってるもん(笑)。

三木 あー、そうですかぁ!ありがとうございます。うれしいなぁ。

‐‐‐‐ところで、石井さんもルパンのファンだとか?

石井 大好きですねぇ。

おおすみ 石井さんは、リアルタイムでみてたの?

石井 放送されたのって1971年じゃなかったでしたっけ?

おおすみ そうそう。

石井 僕、66年生まれなんですよ。

三木 おー、何気なく、さりげなく、すり込まれてるかんじだ!

おおすみ でも5才じゃ、リアルタイムで見てないでしょ?

石井 うーん、リアルタイムではみてないかもしれませんね。はっきり覚えてるのは、一回目の再放送からかなぁ。

おおすみ これは、ファン雑誌なんかでは言わないんだけど、リアルタイムで見た人、特に小さい頃に見てくれた人には、ずっと罪の意識があったんだよね。

三木石井 えー、そうなんですか?

おおすみ 子供の時間帯に、よくもあれだけのことをやったな、と思ってね。でも、時が経つとその事自体が評価されるんですよ。当時幼くして見た人達が肯定してくれるの。正直いってこれは意外だった。

三木 かなり肯定してますよ!性の目覚めに近いものがありましたからね、僕にも(笑)。

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おおすみ 僕は、そういうのを聞く度にホッとしてるんだよね。今まで僕の方から言わなかったんだけど、僕は当時、平行して児童演劇もやってたんだよね。まぁ今でもやってるんだけど、児童劇の専門家としては、あんなもの子供には見せちゃいけないっていう立場だったの(笑)。

三木石井 (笑)へぇ!

おおすみ 当初ルパンは大人の時間帯にやるってことで、準備してたんだよ。ところが僕の意図に反して、子供の見る時間帯にガッと放送されちゃった。当時「ムーミン」の演出をやりながら、延々とルパンの開発を進めてたの。大塚さんたちとね。その時は、いかに大人のアニメを作るか、という世界に例をみないことをやろうと頭がいっぱいだった。それで、いよいよ放送時間が決まったぞ!ってことになって、「え、その時間帯なの?」ってかんじだった。

石井 なるほど。

おおすみ だからね、このまま作り続けるしかないなと思いながらも、どっかに後ろめたいような、これでいいのかな?って思いがずーっとあったから、今になって言われるほどかっこいいことではないんですよ。「子供相手に、よしやってやれ!」なんてことで、確信犯的にやったわけでもない。

三木 意図がずれてたんですね。

おおすみ うん。傍目には開き直ってたけどね(笑)。「最近の子供には、このくらいが丁度いいんです」とかなんとか言ってスポンサーを説得してたし。当時、僕の内面に葛藤があったことは、大塚さんにすら言ってなかったんじゃないかな。おそらくここで初めて言うよ。

三木石井 えっ!そうなんですか!

おおすみ みんなが持ってる僕のイメージの方がかっこいいから、そのままにしといてもいいんだけどね(笑)。



三木俊一郎監督

1968年生まれ。東京都出身
武蔵野美術大学卒業。葵プロモーション入社後、CMディレクターとして数々の国際的な賞を受賞。特にファンタのCMなどで見せるナンセンスなギャグ表現に定評がある


石井克人監督

1966年生まれ。新潟県出身
武蔵野美術大学卒業。東北新社に入社後、CMディレクターとして働く傍ら、多数の映像作品を手がける
クエンティン・タランティーノのファンとして知られ、『キル・ビル Vol.1』ではアニメパートを担当した
主な監督作品:鮫肌男と桃尻女、PARTY7、茶の味、ナイスの森、HAL&BONS


ナイスレインボー

三木俊一郎監督、石井克人監督、ANIKI(伊志嶺一さん)によりクリエイターユニット“ナイスの森”を2003年に設立。同名の劇場映画を制作。 2006年10月に株式会社ナイスレインボーとして現在活動を続けている

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次回更新は6/10の予定です

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